2005年11月04日

たまねぎマッチ!

終了してから随分と経ちましたが
ようやく、前半部分が書き終わりました。

途中で仕事が多忙になったり
と思ったら大海戦だったり・・・
と言い訳ばかりですなぁ ^^;
すんません。

書いてたらなんか長くなっちゃって ^^;

前半と後半の2部構成にします。

とりあえず前半部分です。
228.JPG
---
イベリアの地、ポルトガル。
そのヨーロッパの端っこにある国。
その大陸の隅っこの国は、今では
大西洋の始まる国となっている。
そこから沢山の航海者たちが
富や名声、そして好奇心を満たすために
飛び出していく。

大西洋を見下ろす高台にクレイスは居た。
ここから見える風景。
様々な航海者たちを見送ってきた砲台。
自分も随分と前にここから大海原へと飛び出していって
いろいろな景色を見てきた。
でも
「やっぱここが一番落ち着く感じだ。」
ポツリとつぶやいた影はしばらくそこを動かなかった。

同時刻
ポルトガル首都リスボン王城
2通の手紙が送り出された。
うち1通は数時間後、クレイスの元に届けられることになる。

"ポルトガル所属航海士クレイス
王命により飢餓に苦しむマディラの民のため
食料の警護を命じる。
担当する食材は「たまねぎ」である。
一人では困難極まりない任務であるため、
出来るだけ多くの協力者を募って任務にあたるように。
この任務には他国の王や代表にも協力を取り付けてある。
国籍問わず、大多数の航海士に協力を要請したまえ。"

クレイスが受け取るであろう
この手紙・・・
そしてもう一通の行方・・・
リスボンは今、静かな時が流れてる。
そうまさに 嵐の前の静けさ なのかもしれない
---

暖かなに日差し。
僕のお世話になっている船の甲板上もぽかぽかとして気持ちいい。
そのぽかぽかでお昼寝に最適な甲板の上でゴロゴロとして居る男を、
僕は見ていた。
彼の名前はしゅんぺい。
この船、戦列艦級、各国で開発されたばかりの新鋭艦だったりするんだけど
その新鋭艦を操るの船長さんだ。
その戦闘の才能や技術に加え、遠洋航海法や商いのノウハウも持ってたりして
結構な人すごい人だけど本人はあんまりそのことを自覚してないのか
よく居る威張りんぼ船長じゃない、
むしろその逆で皆に親切で船乗ってる皆から好かれている。
でも神様ってのは平等なのか?なんなのか・・・
「ああクリスティーナちゃん・・・。」
・・・なんといいますか、ものすごーくナンパな人だったりもする。
(そういうところも好かれている一因ではあるけれど)
そんな船長が昨日、船に戻ってからは特に何か悩んでいるみたい。
ゴロゴロするのは船長が悩んでいる時の癖だ。
そんな風に船長がゴロゴロと甲板を転がってる時にその手紙は届いたんだ。

"ポルトガル所属航海士しゅんぺい
王命により飢餓に苦しむマディラの民のため
食料の警護を命じる。
担当する食材は「たまねぎ」である。
一人では困難極まりない任務であるため、
出来るだけ多くの協力者を募って任務にあたるように。
この任務には他国の王や代表にも協力を取り付けてある。
国籍問わず、大多数の航海士に協力を要請したまえ。"

覗き込んでいた僕は思わず大きな声を出してしまった。
「流石は船長です!王室からの勅命が届くなんて!」
しかし船長は真剣な顔でじっと手紙を見ている。(この顔で女の人の前に立てばモテるだろうなぁ)
「ふむ・・これが品薄の原因か?。」
船長は一言つぶやくと今までのゴロゴロモードから一転、
機敏に指示を飛ばしていく。
「船はいつでも出せるよう準備!またいろいろなツテで協力者を集めよう!」
こういう時の船長はカッコ良い。
ただ、あまりにノリノリなのがちょっと気になるけどね。
僕の頭の端っこの方に、
(最近、リスボンの若い女性にたまねぎが人気なんだよ。)
なんて言ってた酒場のマスターの話がよぎった。
でも真剣な船長の横顔見たらそんなことは気にならなくなった。
杞憂だと確信できるほど立派な人モードになってる顔だったからね。
間違いなく大丈夫、マディラもきっと救われるに違いない!
こうなった時の船長は誰よりも頼れるってことを僕は知っているから。
---
こうして二通の手紙が
二人の若者の元に届いた。
そして・・・
海は大きくうねりだす。

そして数週間後・・・
クレイスは自艦である戦列級艦『アルテミス』の甲板上に居た。
リスボンを出航してから数日、船はマディラ近海を航行している。
目的地であるマディラまで後1日か2日といったところだ。
「この手紙を受け取ってから、結構手間取ったな・・・」
一人ポツリとつぶやく。
王室からの手紙を受け取ってからの行動は素早かった。
まずは、近海に居て信頼のおける知り合いを探した。
そして知り合いからまた知り合いを・・・といった具合で
協力者を募っていったのだ。
もちろん、各ギルドの連絡掲示板や、酒場などを使って
自分が航海士を募集している・・・との情報を広めていく。
そして、その集合場所として指定したのが、
噂の現地である、「マディラ」であった。
マディラ、
リスボンから南西に約1.000`大西洋上に浮かぶ島で、
豊かな森と、サトウキビの栽培、ワインの醸造など・・・
特徴を挙げればいろいろとあるが、
なによりもポルトガルのアフリカ、インド航路の出発拠点であり、
ヨーロッパの玄関ともいえる場所にある。
そのマディラが食糧難だということは
ポルトガルにとっては一大事なのだろう。
戦いは厳しいものになりそうな予感がしていた。

「しゅんぺい船長〜。」
僕は桟橋でのんびりと釣り糸をたれているしゅんぺい船長に、
ちょっぴり不平っぽく声をかけた。
太陽はほぼ真南に位置して、今、まさに全盛でがんばってますって時間。
暖かな・・・というよりちょっと暑いくらいかな?っていう気候。
どこからも甘い香りもしてくる気がする。
穏やかな時が流れる島マディラ・・・
そのマディラの港についてからすでに7日は経っていた。
あの手紙を受け取った次の日には
船長は大抵の用事は済ませて、マディラへの航路についたんだ。
実は戦列艦クラスの船は実はそんなには船足は速くない。
艦隊vs艦隊の決戦に使用するために、
また戦略拠点に停泊させてその周囲への威圧として
そんなための船だから、船足よりは大砲とか人員とか増やすのに
力が注がれている船なんだ。
おっとと・・・そんなことはどうでもいいんだっけ。
「俺がマディラについて7日間・・・現地のカワイイ子を口説いていないのがそんなに気になるのか?」
・・・
「なにいってんですか?船長・・・しっかり初日は酒場でアチコチにちょっかい出してたじゃないですか!
・・・ってそうじゃなくってっ! ここでボンヤリしてていいんですか?なにもしてないじゃない。」
そう、現地の子を口説いてたのは初日だけで、後はボンヤリと市場をウロウロしたり
船着場で釣りしたり、後は酒場に出入りしたり(お酒を飲んだり口説いたりするわけでもないのに)
そんな感じで傍目には無駄に時を過ごしているとしか思えない感じで心配なんだよ。
「ハハハ、初日にアチコチにてー出し過ぎて総スカン・・・じゃなくって人待ちを兼ねて調査だよ。マディラのな。」
「人待ち? 後、調査って?」
「ここに着いて違和感なかったかい。」
船長が言いたいことはなんとなくわかる。
「確かに、飢餓の危機ってワリには随分と平和な感じですね。」
「そう! 確かに市場には品物は減ってるし、食料品の物価も高騰してるらしいが・・・
酒場なんかは価格の値上げはしてないみたいだし、着いたその日は市場にも物は一杯あったしな。」
そっか・・・
飢餓になってたら普通はいろいろと品薄にもなるし、
酒場なんて値上げどころか営業できなくなっちゃうはずだもんなー。
市場だって、最近になって急に、出し惜しみしているだけって雰囲気があったと思うし。
「いろいろと今回の手紙の件、胡散臭い感じはするな・・・」
船長はポツリと独り言のようにつぶやいた。
「確かに胡散臭いけど・・・王命だったら仕方ないだろうさ。」
僕らの後ろから船長の独り言に答える声があった。
僕は後ろを振り返った。
そして船長も、
「待ち人来る・・かな。相変わらずだなぁ。ぶっこさんは・・・ははは。」
僕はその特徴的な船長の友達を見て・・・固まってしまった。
・・・・
・・・
・・

「何でカッコがドーディー+フルフェイスヘルムやねーーーーーーん!!!!」
ようやく突っ込みを入れた時にはすっかり日も落ちていて、
(二人は固まった僕が戻るのがあんまり遅くって先に酒場に行っちゃったらしい)
お月様が海面に写って綺麗な、そんな時間になっていた。

私はマディラ王立商館の一室に入るドアの前に居る。
ひどく緊張しているのが自分でもよく判る。
コンコン
軽くドアをノックすると中から
「んー・・・開いてると思ったけどなー。どうぞー。」
すごくのんびりとした声。
そしてとても懐かしい・・・
「失礼します。」
私はドアを開いて中に入る。
落ち着いた部屋にやわらかな午後の日差しが丁度良く入る。
そんなノンビリとした空気に溶け込んで、
一人、長身の男の人が窓際に立っている。
「やぁ お久しぶりになっちゃったね。」
ポロポロ
泣くつもりは無かったのに、
理性では少なくとも泣いてるつもりはないのに
その声を聞いたとたん
涙は私の意志に関係なく頬を伝ってこぼれて行く。
そして目の前に男はその私の様子に
ただただオロオロしていた。
・・・
「ごめんなさい・・・なんだか動揺しちゃったのかな。」
しばらくして私の感情の波は収まってくれた。
「いや、僕も随分と連絡もしないでアチコチと放浪しちゃったから。」
はははっと軽い笑いを飛ばすクレイスさん。
「ところで今回の急用ってなんだったんですか?」
そう、私が東地中海での交易航海を早々に切り上げてマディラまで来たのは
海事ギルド経由で来たクレイスさんからのお手紙が理由だった。
内容は簡潔、急いで話がしたい。マディラの王立商館で待つ。
それだけの短いお手紙だった。
しかも港に係留してあったのって・・・確か『アルテミス』。
普段はガレー船乗ってたような・・・。
なにか危険なことでもあるかもしれない。
「うん。実は今回、結構ヤバイかも。」
そう言ってクレイスさんは事情をかいつまんで説明してくれた。
勅命。
ギルド経由とかじゃなくって王室がクレイスさんを直接指名してきての依頼で、
内容はカサブランカからマディラへのたまねぎ輸送の援護。
カサブランカで用意されている、たまねぎを奪いにいる奴から守るため
囮艦隊として、一定期間たまねぎを持ちマディラ-カサブランカ付近の海域をウロウロして
必要に応じて奪いに来る敵性艦隊からたまねぎを守り抜けってことらしい。
その隙に本隊はたまねぎを満載してマディラに向かうのだとか。
しかし十分な量が確保できなかったため
おとり用のたまねぎも奪われすぎるわけにはいかないらしい。
・・・・
なかなか大変な依頼だなぁ。
「あれ?航海士を沢山集めて協力を要請ってありますけど?
居るのは私たち二人だけですか?」
そう、私たちの居る部屋にはクレイスさんと私の二人だけしか居ない。
「いやいや、いろいろな人に協力要請の手紙や、ギルド経由での告知もしたし、
別室に沢山の協力者が来てくれているよ。」
「じゃなんでココには私たちだけ?何か必要なことなんでしょう。」
クレイスさんは無駄なことはあんまりしない。
たまに無駄ばっかりする時もあるけど・・・
そんなクレイスさんがわざわざ別室に私だけを呼ぶと言う事は
それが必要だったからだと思う・・・んだけど。
「うん・・・ 実は皆の前では、とても言い難いことだからさ。」
ちょっぴりドキドキするかも。
そしてクレイスさんはその言いにくい話を私にしてくれた。

甲板で夜風に当たりながら僕は、ここ数日のことを思い出していた。
待ち人であるぶっこさんが来てくれてから、
海戦の準備はものすごくスムーズに進んでいったんだ。
どのくらいスムーズだったかって言うと、
ぶっこさんの服装に違和感が無くなる前に終わっちゃったって感じかな。^^;
(しゅんぺい船長のおかげ?か僕は大抵のことは2日か3日で慣れてしまう。)
さらっとスムーズって言ってるんだけど
それは大変な作業だったんだ。
なにせ国籍も経験もてんでバラバラな航海士さんたちが沢山集まって来て、
それが戦闘行動が出来るように編成作業をしなくちゃいけないんだよ。
船長の船に乗ってから、いろいろな港を回ったけど
世界各地で聞こえてくる凄腕の航海士さんがたっぷり!
特に、イングランドの精鋭艦隊の参加には僕もびっくりした。
そんな彼らをぶっこさんと船長はこともなげに取りまとめていった。
そして、明日はカサブランカに向けて出発する日になっていた。
「明日は出発かぁ・・・ 結局マデイラ美人とは親しくなれなかった・・・」
ちょっと離れたとこでしゅんぺい船長はぶっこさんとお酒を飲んでいる。
「はは、これが終わったら、またマデイラに来ればいいじゃないか。私も付き合うからさ。」
「うーん、しかしそのカッコでは俺の相棒は勤まらんよ。」
「ははは、このドーティーはもてるん秘訣だそ!」
と、なんとも軽い会話が風に乗って聞こえてくる。
明日からは緊張の連続だろうし・・・ ここで少しは軽口も叩いておきたいんだろうなぁ。
それだけの余裕がある船長たちが居れば海戦もなんとか乗り切れる・・・
そんな予感がした。
ついでに、船長の第二次マディラナンパ計画の失敗の予感も・・・ビンビンした。

頬を撫ぜる風。
マディラのものより少し乾いている感じがする。
私はクレイスさんと共にカサブランカの町に降り立った。
私が着いた時には協力してくれる航海士さんたちは、すでに集まり編成も終えていた。
集まってくれた人たちはそれぞれ4つの艦隊に分かれてカサブランカで落ち合う予定になっている。
そこでたまねぎを積み込み、カサブランカ沖で集結、収奪艦隊を迎え撃つ!
これがクレイスさんの計画みたい。
ベーシックながら確実な計画、
「運用できる艦隊数が多くはないからね。各艦隊の連携がとりやすいのがいいんだよ。」
とクレイスさんはマディラを出る前に言ってた。
まもなく戦いの準備は終わる。
カサブランカは今、静かな時が流れてる。
そうまさに 嵐の前の静けさ、なのかもしれない
posted by ムササビ at 23:58| 静岡 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説? | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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